意外に知られていない音読の"スゴイ"効果
1.あなたのリスニングを伸ばすには、従来の"聞き取り"型練習が本当に効果的なのでしょうか?
あなたはリスニング力をつけるのに、どんな練習をしていますか?
リスニングを伸ばすのだから、当然、できるだけたくさん、ネイティブスピーカーの英語を聞くことだ、と答える人が、私の英会話クラスの受講生にはたくさんいます。
私自身もかつてはそう思っていました。
衛星放送で海外のニュースを聞いたり、国内のニュースでもバイリンガルで聞いたり、ラジオの英会話教材やその他、諸々の市販教材を使って、とにかく自分の"耳"を本場の英語の"音に慣らす"ことが肝心だと考える人は多いですよね。
しかし、もしあなたもそのように、英語の音に耳を慣らすことが重要なので、できるだけ普段から英語を"聞く"練習を行っていらっしゃるというのなら、お尋ねしたいことがあります。
本当に、今のやり方で、自分のリスニング力は伸びていっていますか?
私達は、中学以来、RとL、BとV、子音と母音の連結音や消失音など、英語のあまり特殊な音のバリエイションに圧倒されてきました。
そのため、学校の先生達からも、「ヒアリングを上達させたいのなら、できるだけたくさん本場の英語を聞くことだ」と指導も受けてきましたよね。
そんな影響もあってか、読み書きや文法への取り組みの多様性とは対照的に、リスニングというと考えが硬直化してしまい、「とにかくたくさん聞くことだ!」とだけ考えがちになってしまっていると思いませんか?
もし、たくさん聞いても効果がないとすれば、少々発想を変えて、何か他にいい方法はないか、考えてみることも大切なのではないでしょうか?
2."聞き取り"型="受身"型リスニング練習の限界!?
私の英会話クラスの受講生の河野さん(30歳、女性)は、英会話学習歴も4年目に入り、ネイティブ講師達の発音にもそこそこ慣れてきた、と感じ始めていました。そこで、友達と一緒にオーストラリアへ旅行に出かけたのです。
ところが、実際に現地に行ってみて、愕然としたそうです。
というのは、現地のネイティブ達が話す英語が、スピードが速すぎて、もうほとんど理解できなかったからなのです。
大きく自信喪失して帰国した彼女は、「今までの英会話学習は何だったのだろう?」と一度は英会話そのものも止めてしまおうかとさえ考えたそうです。
しかし、何とか気を取り直して、再び、うちの教室に戻ってきてくれました。
これまでの河野さんの学習は、1週間に一回のネイティブ講師の英会話レッスンと不定期だけど、気が向いた時に行うラジオの英会話教材、及び、洋画の字幕をなるべく見ないようにする鑑賞、などでした。
うちの教室も例外ではないのですが、ネイティブ講師と行う英会話レッスンというのは、よほどの上級者クラスにならない限り、その内容はどうしても受講生にとって"受身的"になりがちです。
積極的に自分から話題や展開を考え、リードしていくという構成になりにくいからです。
また、河野さんが行っていたような、ラジオ英会話教材、洋画鑑賞なども、基本的には、自ら英語の構成や話の内容などを考えたりする必要性はない練習ですよね。
河野さんに限らず、他の受講生に聞いても、多くの人達の自宅での学習の取り組みが、一様に"英語の音の聞き取り"を目的としたものに限定されがちなのです。
そして、そのように"聞き取り"型のリスニング練習を中心に行っている人達のほとんどが、実力の伸び悩みを感じていることもわかりました。
とにかく、帰国後の河野さんから「このままではいけない、本気でやり直したい」と相談を受けた私は、"従来の方法"からは大きく異なった取り組みをアドバイスすることにしました。
その取り組みには、リスニングの"本当の要点"と私自身が信じているポイントを理解してもらわなくてはならなかったのですが、そんなことは"ヤル気"になった河野さんにとっては全く問題ではありませんでした。
そして、それから3ヶ月も経たない内に、河野さんのリスニング力は、はっきりと自分で自覚できるほどにメキメキ上達していったのです。
3.リスニング上達の秘訣とは?!
これまではとは大きく発想を変えた取り組みで予想以上に短期間で上達の壁を乗り越えてしまった河野さんですが、日々の学習時間そのものはそれほど変わっていないと言います。
それでは、その取り組みと従来の"聞き取り"型練習との違いはいったい何なのでしょう?
一言で言えば、取り組み内容が、これまでの"受身型"とは対照的に、"自発的(能動的)"であるという点だと思います。
つまり、従来の"聞き取り"型の練習は、前述しましたようにネイティブの"発音"に慣れるために、受身的にとにかく長時間、「英語を聞く」ことに徹するタイプの方法でした。
このやり方を昔、某大手英会話スクールが「イングリッシュ・シャワー」と呼びましたが、それは確かに英語の音に慣れ、そのいろいろと複雑な発音のルールに対しての認識を深めるという点では、まさに"王道"を行く不変の方法であると思います。
ところが、イングリッシュ・シャワーを続けていても、どうしてもあるレベル以上から上達しない、という人がたくさんいることもまた事実なのです。
私はある時、その理由が、
「ネイティブの話についていけないのは、"耳"ではなく"頭"のせいだ」
と気づき、目の前が一気に明るくなったのを覚えています。
つまり、あなたの英語の聞き取りへの苦手意識は、実は、自分が聞き取った英語の"意味"をネイティブが話す速度に合わせて理解していく力が不足していたことが原因だったのかもしれないわけです。
この英語の意味に対しての"素早い理解"こそが、リスニングの"本当の要点"だったのです。
そして、この要点を押さえるための練習方法というのは、これまでのように英語をたくさん流し聞くだけの受身的な取り組みだけでは十分ではないのです。
すなわち、
英語の意味の理解に対して、ネイティブが話す速度に負けないスピードで回転する頭脳を養成するためには、普段から英語を"自発的に考える"習慣をつけていくような取り組みをすることが理想的であると言えるのです。
そのためのベストな方法が、意外に感じられるかもしれませんが、音読なのです。
4.音読は「ただ声を出せば良い」と考えてませんか?
音読というと、あなたは「話す能力」を高めるための練習として、むしろ思い浮かべるかもしれません。
この音読という練習、古くはカリスマ的同時通訳者の先生から、最近では話題の小学校の校長先生に至るまで、多くの提唱者に支えられて、すっかり世間に定着した感がありますよね。
ところで、あなたは、音読というと、具体的にどんなやり方を想定しますか?
「該当する英文を声に出し、リズム良く、発音に気をつけながら、途中で詰まったり言いよどんだりしないようになるまで、何度でも繰り返し、読んでいく」
と、このようなイメージではないでしょうか?
とにかく、音読というのは、"声を出す"ことが重要なのだから、何十回、いや、何百回とただ声を出していくことにこそ意義がある、こう主張される人も多いことでしょう。
私は別に、「正しい音読法」を知っていて、それを説明しましょうなどと大それたことをしたいわけではありません。
ただ、どんな練習でもそうだと思うのですが、音読もちょっとした工夫を凝らすことによって、その効果が大幅に変わってくる可能性もあるということを言いたいのです。
工夫次第では、そんなに何度も何度も声が枯れるまで繰り返す手間をかける必要もなくなるかもしれないのです。
前述の河野さんが行ったやり方は、一口で言えば、
音読の時に頭の中で英文の意味を一回一回確かめる(考える)
という方法でした。
これは一見すると手間がかかって面倒くさそうですが、繰り返し音読する回数を大幅に削れるというメリットがあります。
しかもこれでかなり高い効果が現れたわけですから、学習時間そのものはかなり短縮できるわけですね。
最近、私の教室では、河野さん以外にも多くの受講生達がこの"工夫を加えた"音読に取り組み始めています。
その大半の人は、スピーキング力を伸ばしたくて始めるのですが、そのほとんどの場合、まずリスニング能力の大幅な改善を強く感じる人が多いのです。
では、いったい、なぜ、この音読がリスニング力の養成に効果をもたらすのでしょう?
5.音読こそがリスニングに有効な理由!
音読練習というのは本来、スピーキング力アップのために効果的だと言われる取り組みですよね。
できるだけネイティブ達が話すのと同じスピードで、しかも、リズム良く、発音にも気を使いながら声を出しながら繰り返し英語を読んでいくことからもたらされる恩恵は、英語を話すために必要なあらゆる要素にとって効果をもたらすと言われています。
私は、そのように多岐に渡る効果の中でも、スピードを意識して声を出していくことにより、特に、"英語の構造や意味を素早く理解する"という能力が向上することに最も注目しています。
この能力は、英語を流暢に話すためにも絶対に必要なものですが、前述しましたように、リスニング上達のための"本当の要点"でもあるからです。
面白いもので、結局の所、リスニングもスピーキングも上達のための要所となる能力は、同じだったんです。
このことはちょっと考えてみれば容易にわかります。
英語を話すのが上手い人は、その場で頭に浮かんだことを、見事な表現を使いながら、しかもスピーディに英文を組み立てていきますよね。
ここで頭の中にあるアイディアをいちいち一旦日本語にして、それらを英語に訳していく、というようなプロセスを要するような人は、絶対にスピードや流暢さが不足するぎこちない英語しか話せないはずです。
また、ネイティブの流れる水のように切れ目なく続くスピーディな英語にしっかりとついていき理解していくリスニング力を持った人というのも、聞き取った英語を理解する際には、いちいち日本語に訳してはいないはずなのです(日本語に訳して理解していたら絶対にスピードについていけなくなる)。
そのように、英語を話す際の頭の中のアイディアを英語化する行為と、英語を聞く際の聞き取った英語をアイディア化(理解)する行為というのは、結局、同じ能力によって支えられているものだったのです。
この能力を磨くためには、
普段からスピードを意識して、意味を理解したり、また、英語の構造や語彙に対しての理解をとことん深めておく(考えなくても反射的に理解できるレベルまで)ことが不可欠です。
そして、そのために、音読が最も効果的な練習法になり得るのです。
市販の読解教材でも、受験生向けの英作文教材でも文法書ででも、英語の構造や理解を深める方法はそれこそいくらでもあるものです。
でも、そのどれを使っても、本場ネイティブが話す必殺のスピードについていくだけの頭の素早い回転を養成しようと思うのなら、普段からスピードを意識した取り組みをしておくことが理想的なのです。
つまり、ネイティブスピーカー達が話すくらいのスピードを意識して音読し、また、同時に、そのスピードで英文の構造や意味を素早く理解する習慣を身につけることで、英語を聞く際の頭の回転速度も高まってくるのです。
こうして、ネイティブの話す速度に負けないくらい"速く"意味がわかるようになってくれば、あなたのリスニング力は大幅に伸びてきます。
6.練習時間は半減以下でもリスニング力が向上するポイント
音読の効果について、「声を出して読んではいるけど、何かがそれほど大きく変わったとは思えない」という不満も、受講生からは実際聞くこともあります。
そういう場合はたいてい、音読を繰り返す回数や時間が不十分であることが多いので、もっと時間をかけて音読回数を増やすようアドバイスすると、
「そんなに同じ文を何度も何度も繰り返すのは大変です」
とさらに不満顔をされてしまうことが多々ありました。
あなたも、音読練習に関しては、「効果は上がりそうだけど時間がかかり大変だ」と感じ、敬遠してきていませんか?
確かに、英語の専門家の中には、音読は何百回と繰り返しやって初めて効果が出るものだ、というようなニュアンスの主張をされている方もいるくらいで、これはかなりキツい"修行"のように取り扱われていますよね。
しかし、大抵の音読トレーニングでは暗記しなくてはならないため、これでは効果があっても退屈で継続できません。
本当に大切なことは、テキストを見ながらでもいいので、音読しながら、文の構造や「英語ではこの日本語のフレーズをこうやって言うんだな!」ということを意識することが非常に重要になるんです。
このようなことを意識して音読すると、英語を聞く際にも英語の文構造を素早く理解し話の展開が予想できるようになり、また、まとまった意味があるフレーズ毎に瞬時に意味がイメージ化できる英語理解脳が作られていきます。
大切なことは、“暗記”することでなく、少ない回数でも良いので、英文の構造と意味を理解(意識)しながら音読することです。
こうすることで、何百回と繰り返す音読練習と同じかそれ以上の効果が期待できます。
そして、練習時間は半減以下でもしっかりと音読の効果が期待できるトニーニング術を具体化させた教材がSEC式の英語教材(英語筋力増!教材)です。(論より証拠;その教材利用者の声はコチラをよりどうぞ。)
負担を軽減しても音読の効果を失わないことに、この教材は注意を払っています。音読に興味があり、大変そうで手を出せなかった方や従来の音読で練習を挫折してしまった方に特にお薦めします。