「あれ?日本で英語が上手くなったよ!」?3/3
外国人を飽きさせない交友術
通訳案内業試験のための学校に通って半年。
英文解釈と英作文の練習を自分なり(?)にかなりこなしてきて、それなりに実力がついたかなと思い始めていた矢先、2次試験対策の英会話レッスンで外国人にいざ相対すると、からっきしダメでかなり落ち込んだ私。
クラスメイト達のアドバイスもあり、やはり、会話の練習は英作文のトレーニングで「発想」を磨くだけでは不十分、外国人スピーカーと実際に話す練習を重ねなくてはいけない、という結論に辿りついたわけです。
外国人スピーカーと話す、といえばやはり英会話スクールに通うのが一番簡単なわけでしょうが、なにせ、当時の私は、そこまで予算が回らない。
ということで国際交流団体が主催する外国人向け日本語クラスで、ボランティア日本語講師をしながら、外国人の「友達」を作るという戦略を考えました。
さて、いざ、日本語クラスが始まり、私は、オーストラリア、カナダの女性とイギリスの男性を担当することになり、私の外国人友達作り計画にとってはうってつけのスタートを切りました。
彼らの日本語レベルが全くの初級ということもあり、クラスの中でのやり取りは必然的に英語中心になったことも私にとってはまさに理想的のはずでした。
しかし、実際、いざ、日本語の細かな文法や語彙表現などを英語で説明しようとしてみると、これが途方もなく難しい。
最初は、(日本語を教えるくらい簡単だろうと)軽い気持ちでいたんですが、いざ、いろいろ説明しようとしてみると、これは、日本語でだってなかなか上手くはいかないもんです。
そんなわけですから、最初の数回の授業は、彼らも「言っていることが全然わからない」という顔つきで、授業の内容以前に、私達の間にはコミュニケーションはほとんど成立していませんでしたね。
やばい。これほど低いレベルの意思の疎通では、とてもじゃないが彼らとの親交を深めることなど無理だ・・・。
そこで、いろいろ考えた挙句に、まずは授業の説明をわかりやすく正確なものにするために、説明文の原稿を作っていくことを思い立ったわけです。もちろん英語で。つまり、説明文を英作文してみたわけです。
最初は大変でしたけど、ここは、それまで学校でやってきた英作文の練習の成果を確かめる時だと自分に言い聞かせ、なんとかやってみました。
まあ、原稿を英作文するといっても、根っからの怠け者ですから、あまり時間はかけたくなかったんですね。
ですから、原稿作りはもっぱら直前に電車の中でささっとやる程度でしたけど。
でも原稿を用意したおかげで、その後の授業は予想以上に上手くいくようになりましたね。
最初は自分の英作文が彼らに本当に通じるかどうか不安でしたが、実際に彼らから「あなたの説明はわかりやすい」と言われてみて、かなり自信を深めることができたのです。
当初は、私を英語の初心者扱いしてあまりコミュニケーションを取ろうとしなかった彼らも、私の意外に高い(?)英作文力を知って以来、あきらかに態度を変え始めましたね。
次第にレッスンの前後に、私は「雑談」を持ちかけられるようになってきたんです。 今にして思えばたいしたことを話していたわけではありませんが、それでも当時は「この機会を逃してはいけない」とばかりに必死で彼らの問いかけに対して答えようとしていましたね。
そのうちに行き帰りの電車の中で授業の内容ばかりかこの雑談についてもちょっとしたメモを用意するようにさえなりました。 そうこうしているうちに、彼らともかなり打ち解けてきて、やがて、レッスンの後はちょくちょく飲みにいくようになっていきました。
私にとってはまさに「願ったり叶ったり」で喜ばしきことのばずなんですが、この「飲んでいる席」での彼らとのやりとりがまた大変なわけですよ。
ご存知の方も多いことでしょうが、アルコールが入ってリラックスした外国人と話すことほど難しいことってありませんよね。
彼らはもう途中から私が英語を母国語としていない、しかもまだ学習中級者であるということなど、すっかり忘れてしまうんですね。
そして、自分たちの「言いたいことだけ」を話し「聞きたいこと」だけしか聞いてくれなくなるんですね。そうなるともう悲惨です。
当然のことながら彼らとの話題も、「日本にはどれくらい滞在しているの?/あと、どれくらい滞在するつもり?/日本の中のどこへ行ったことがあるの?/日本の食べ物の何が好きですか?/京都や奈良に行ってみたらいいですよ/浅草の仲見世とか上野のアメ横とかも面白いですよ/日本語はどれくらいしゃべれますか?・・・」などのようなステレオタイプな内容だけでは通用しなくなってきます。
じゃあ何を話せばいいのか?何をどう話せば彼らは喜んでくれるのか?英文を頭の中で組み立てることができるようになり、それなりに話せるようになってきた時、
今度はこの「話題」という壁にぶつかってしまいました。
みなさんも同じような経験はあるんじゃないでしょうか?
しかし、今にして思えば、この「話題の壁」は、外国人との交友を深めていくうえでの最後の大きな壁でしたね。
外国人と仲良くなるきっかけは「自分勝手に話すこと」
そしてこの壁を乗り越えるのは、勉強や練習によるというより、ある種の「開き直り」が、私の場合、有効でした。
その開き直りというのは、つまり、こちらも自分の「言いたいこと」だけを話し、「聞きたい」ことだけを聞けばいいじゃないか、というようなに心構えを変えることでした。
つまり、それまでのように、外国人達がどんな話が好きかということにはあまり神経を使わないことにしたわけです。
考えてみれば、日本人同士だって話が「合う」、「合わない」があるわけですから、外国人と一口に言ってみても十人十色で、彼ら全員に受けるような話題を考えてみても仕方がないわけですからね。
また、よく言われるように、外国人は「自分の意見をしっかりはっきり言う」ことを好むということも意識しましてね。
外国人と飲んでいる席上でも、それまでの「聞き役」中心で、にこやかに打つ相槌だけがとりえの「うなづき君」から、態度を一転してみせたんですね。
「俺の話も聞け!」という具合にですね。
とは言っても、それまで長きに渡り「うなづき君」だった私が、いきなり「マシンガントーク」を展開できるはずもありませんよね。
それ以降も当然、自分の話そうとする内容を伝えきれなくてイライラしたり、途中でしどろもどろになってしまい落ち込んだりする日々が続くわけです。
でも、上記のような「開き直り」のおかげで、少なくとも「何を話せばいいかわからない」というようなことは無くなりました。だって、自分の言いたいことだけを聞きたい人だけに話せばいいわけですから。
そして、自分の言いたいことを中心に話が進むようになっていくと、自分の話している時間もだんだんと長くなっていきましたね。
自分の話したい話ですから、あらかじめ、頭の中で道筋を考えておけるわけですから。
そうなると英作文のスキルが活かせますし、話の内容もどんどん膨らましていけるようになるんですね。
やがて、飲み会の席上で、気づくと私の話を外国人達が4〜5分聞き入っているということも珍しくはなくなりました。
そうなるとますます彼らとの交友も深まり、彼らから週末に様々なパーティや飲み会に誘われるようにもなっていったんです。
そして、この頃になると、自分が英語を話すのが苦手だというコンプレックスもほとんど消えていましたね。
こうして、ちょっと心構えを変えるだけで、外国人との交友が見違えるように楽しくなりました。
言葉は違えど、彼らも私達と同様に、先進国で生まれ育った同じ人間なんですよね。
こんな当たり前のことが、「英語」という側面を意識しすぎると、時に見えなくなってしまうんですね。
日本語なら饒舌な人が英語となると途端に無口になってしまう。こんなことも案外そのあたりに原因があるのかもしれませんね。
ちなみにこの時の私の日本語クラスの生徒達がその後、現在のSEC英語スピーキング教室を立ち上げた時、講師として参加してくれました。
おかげで、今では相当な数の外国人との交友を持つようになりましたが、彼らとの交友はもちろん今でも続いていますよ。
ここまで読んでくださった方で、英語が伸び悩んでいる人には、ぜひ、最後に以下のメッセージを贈りたいですね。
「工夫すれば、年齢にかかわりなく、英語は必ずモノになる」