海外留学出発前3ヶ月で伸ばすリスニング練習法1/3
その1.留学が予想以上に成功!オーストラリアで働き始めた!
智世さんは、現在、シドニーのホテルでコンシェルジェとして働いています。
業務は、まだ、慣れないことも多く、英語も時々、わからない表現に出くわすので、緊張感の連続です。
「でも、ストレスはありません」
と彼女は楽しそうに話してくれました。
アフター5やオフの時には、友人達と待ち合わせて、あのオペラハウスで有名な、大好きなシドニーハーバーのベイエリアで、ショッピングやディナー、パブ巡りを楽しむ"最高のひととき"を過しているからです。
智世さんは、実は私の親戚にあたるのですが、6年前、彼女が私のスクールを訪ねて来た時には、今日の彼女の姿を想像することもできませんでした。
当時の彼女は、地元のデパートに出店する小さなアパレルショップで店長を務め、英語に少しづつ、興味を持ち始めていた頃でした。
彼女がもともと英語を興味を持ったきっかけは、友人とフィジーに旅行に出かけた後だったそうで、その国の日本にはない解放感と、人々の陽気な性格に、すっかりはまってしまったらしいのです。
2度、3度と、フィジーを訪れているうちに、だんだんと、自分のつたない英語力が、現地で仲良くなり始めた人達との交流の妨げになっていることに気づき始めました。
そこで、大手の英会話スクールに、入会することを決めたのです。
それから1年以上が経ち、英会話レッスンは楽しかったのですが、なかなか、上達してこない自分の英語力に焦りを感じ始めていた頃に、彼女は、私のスクールに移ることを決めました。
何度か一緒に食事をするうちに、
「いずれはオーストラリアに移住するつもりだよ」
という私の考えに、自分との共通性をたくさん見つけたからという事でしたね。
そして、それから3ヵ月も経たないうちに、海外留学することを決意してしまったのです。
彼女の決断と行動の速さに舌を巻いていた私でしたが、さらにビックリしたのは、
「3ヶ月後には会社を辞めて、出発したい」
と言ったことでした。
もうちょっとじっくり準備をしたほうがいいのでは、という私のアドバイスにも耳を貸す素振りもありませんでした。
それどころか、
「向こうの大学を出て、向こうで仕事を見つける、そう決めたら、もう、いてもたってもいられない」
と、早々に勤務先にも辞表を提出してしまったそうなのです。
それから、3ヶ月後、智世さんは、本当にニュージーランドに飛び立っていってしまいました。
そして、あの時点で、まさか、彼女がその後6年間も海外に滞在し続けることになるなんて、全く想像もしていませんでしたね。
しかも、彼女は、ついに、オーストラリアの大学まで卒業して、シドニーのホテルで就職までしてしまったのです。
過去の私自身も含め、毎年、多くの人達が、憧れの英語圏の国々への留学へと旅立っていきますが、彼女のように、海外留学を成功させて、しっかりと自分の目標を達成していくことができる人は、ほんの一握りしかいない、と思います。
智世さんのように、留学を成功させることができる人は、そうでない人達と比べて、何が違うのでしょうか?
その2.彼女の海外留学が成功した理由とは?
最近、帰国した時にウチを訪ねてきてくれた智世さんに、彼女の留学が成功したと思う理由を私は尋ねてみました。
「一にも、二にも、英語力です。特に出発時の英語力が大切だと思います」
と彼女はとても明快に答えてくれました。
彼女は最初、ニュージーランドへワーキングホリディビザで出かけ、まずは語学学校に入りました。
そこで、最初、クラスの半分以上が日本人である現実に仰天してしまいました。
しかも、その日本人のクラスメイト達の英語力の低さ、特に、リスニング力の低さには、あきれるほどであったようですが、逆にそのことで、彼女は、大きなアドバンテージを得たとも感じたようです。
つまり、他の日本人のクラスメイト達は、クラスの内外で、自分達の英語力の低さのせいで、ついつい日本人だけでかたまりがちになってしまうのです。
しかし、智世さんは、彼らに比べれば、すでに相当に高い英語力があったので、外国からの他のクラスメイトホストファミリーとの親交を深めやすかったのですね。
また、ホストファミリーの人達も、積極的に英語を話し、意思の疎通を図ることができる智世さんのことを、
「今までステイした他の日本人の子達とは違う」
と感じたみたいで、非常に快く、いつも話し相手になってくれたみたいなのです。
智世さんは、日本を出発する時までに、相当に英語のリスニング力に自信を持てるようになっていたので、それが大きかったと言います。
リスニングができないと、留学先の慣れない外国で次から次に発生するいろいろな出来事に上手く対処していくことが難しいからです。
ホストファミリーから受ける、共同生活を行っていくうえでの様々なルールや注意事項の説明に始まり、学校への入学の際の諸手続きの説明、銀行での口座開設の際の説明、そして、体調を崩して医者にかかる際の診断内容に関する説明に至るまで、あらゆる説明は、当然のことながら、「英語」で行われるのです。
そして、これらの英語は、日本国内で今や多くの人達が受けられる英会話レッスンで日本人慣れしたネイティブ講師達が話すような「ゆっくり、はっきり」した英語ではありません。
まさに、これぞ、「本場ネイティブ」と言わんばかりに、「高速かつ不明瞭」に展開していく「驚異の英語」であることが多いのです。
これを聞き取れないと、結局、どんどん、ストレスと不安が募っていき、ホームシックにかかりやすくなり、やがては、日本人のクラスメイト達と「傷を舐めあう」ような行動を取るようになってしまうみたいなのですね。
しかし、智世さんの場合は、すでに相当なリスニング能力があったので、この出だしの段階での「英語が聞けないことから生じる不安やストレス」を最小限に抑えることができたのです。
そのため、彼女は他の日本人の人達と行動を共にする必要もありませんでした。 それどころか、彼らがせっかく留学しているのに、日本に居る時と変わらないような「言語環境」に甘んじてしまっている間にも、彼女は外国人留学生や現地のネイティブ達との交遊をどんどん広げていくことができたので、「語学能力」はますます差が広がっていったことは明らかですよね。
「留学はスタートダッシュが肝心なんです」
と智世さんは語ってくれました。
そして、そのスタートダッシュを支える能力こそが、どうやら、高いレベルの英語力であり、その中でも、相当なレベルの英語のリスニング力が大きくモノを言うようなのです。
それでは、智世さんは、どのようにして、そんなに高いリスニング力を出発前に身につけることができたのでしょう?
前述しましたように、留学出発6ヶ月前に、私のスクールを初めて訪ねてきた時の彼女は、決して高い英語能力を持っているとは思えなかったのです。